小規模事業者持続化補助金申請書様式2の書き方のポイントについて説明します。
補助金には目的があります。
ポイントを押さえた申請書を作成する事で採択率があがります。
記載事例を元に説明していきます。
前回の記事で必要な書類はわかったよ。
ただ、肝心の様式2が書けるか不安だよ。
大丈夫!
実際の申請書を元に説明していくよ!
- 今回の記事は令和4年6月3日締め切り予定の持続化補助金第8回締め切り分に関して記載しています。持続化補助金の様式は締め切りごとに変更になる可能性があります。
前回の記事では小規模事業者持続化補助金の申請に必要な書類について説明しました。
【小規模事業者持続化補助金の申請に必要な書類についてはこちら▼】
今回応募分から創設された特別枠についての所感も記事にしています。
【小規模事業者持続化補助金の【特別枠】についてはこちら▼】
【小規模事業者持続化補助金の【創業枠】についてはこちら▼】
【そもそも持続化補助金って何?という方はこちら▼】
前提条件
様式2の説明をしていく前に前提条件を記載します。
以下の条件の個人事業主が申請をするとして説明していきます。
- 特定創業支援等事業による支援を受けて2020年1月1日に開業した。
- 生活関連サービス業の小規模事業者。
- 常時使用する従業員は2名。
- 配偶者が専従者として働いている。
- 令和3年1月~12月までの売上高が800万円。
- 令和3年1月~12月までの売上総利益が640万円。
- 過去3年も同じくらいの売上高なので免税事業者。
- アドバイスは商工会議所から無料で受けた。
- 加点項目には該当しない。
- 今回初めて小規模事業者持続化補助金に申請をする。
- 税込み330万円の設備を導入し新しいサービスを開始する。
- 新サービスの広告を税込み11万円×10回分する。
- 全て自己資金でおこなう。
- 5月15日に郵送で申請。
応募者の概要記載例
まずは事業所の基本情報である<応募者の概要>を入力していきます。
赤文字で黄色マーカーの部分を記載する必要があります。
ここの部分は難しくありませんので記載例の画像だけ添付していきます。
今回の例は「個人事業主」ですので法人のみが対象となっている部分は空欄で大丈夫です。
初めて申請をするパターンですのでチェックが右欄につきます。
創業枠での申請の例ですが、通常枠なら一番上の欄にチェックがつきます。
応募者の概要への記入は以上になります。
経営計画・補助事業計画の作成が少し大変ですが次の段落から説明していきます。
経営計画の記載例
まず<経営計画>欄の説明をしていきます。
経営計画は以下のブロックに分かれています。
- 企業概要
- 顧客ニーズと市場の動向
- 自社や自社の提供する商品・サービスの強み
- 経営方針と目標・今後のプラン
ここでは自社についてどれだけ把握しているかが問われます。
1~4まで順に説明していきます。
企業概要
申請書には「企業概要」としか書かれていません。
企業概要って言われても何を書けばよいのか
わからないよ。
ちゃんと言ってくれないと伝わらないよ!
見出しを設定してわかりやすく
していくよ!
事業所の沿革や立地など必要な見出しを作成し、その下に詳細を記載するようにします。
今回は赤字の黄色でマーカーした部分を見出しとして追加しています。
それぞれどのような事を書いていけば良いのか説明していきます。
事業所の沿革
創業以来、事業所がどのように変化をしていったかを記載して下さい。
○○年に○○として創業
○○年に店舗移転
○○年に○○
のように簡潔に記載して下さい。
立地
店舗がある事業者なら、自身の店舗がどのような立地に存在しているか記載して下さい。
〇〇市内の主要な道路沿いに店舗がある。近隣には大型のショッピングセンターが〇〇店舗ある。
などのような記載になります。
店舗
店舗の雰囲気、客席数、広さがわかるような記載をしてください。
1F、2Fが○○で総面積○○㎡
客席〇〇席
駐車場〇台
のような記載になります。
営業時間
8:00~20:00(木曜定休)などのように
営業時間や休日などを記載して下さい。
従業員
従業員の構成がわかるような説明をしてください。
またその際に、それぞれの経歴も書けるとイメージが膨らみます。
代表者の経歴、従業員の強みを活用して、家族の協力などを得て補助事業をおこなう、というストーリに持っていく事もできます。
記載例としては以下のようなものになります。
代表者と代表者の妻
代表者経歴
〇〇年△で□として勤務。その際に〇〇コンテストで最優秀賞となる。
専従者経歴
従業員経歴
今回の補助事業に関連してくるような経歴が書けると事業の実現可能性を見て取ることができます。
売上構成
どういったものがどれだけ売れていて主力商品は何か。
その主力商品やサービスはどういったものか。
売上を上げる為に工夫をしていることなど記載します。
目で見て直感的に分かるように出来れば表やグラフなどで表現してください。
また、店舗の外装、内装などの写真もあれば載せて頂いても構いません。
企業概要記入ポイント
審査をする人は申請者の事業内容、外部環境など全くわかっていない人が審査をすると思ってください。
あなたの事業を全くわかっていない人が文書だけを見て、事業所がおかれている光景、主力サービスが思い浮かぶような情報を全て記載します。
業種特有の専門用語は使わず、使ったとしてもそれが何なのか詳しく説明してください。
審査をする人が疑問に思う事が多いほど採択される確率は下がります。
いつ、どこで、誰が、何をなど端的に分かり易く記載してください。
代表者や専従者、従業員の経歴も記載していきます。
後で強みを記載する所があるのでここではそんなに深堀しなくて大丈夫です。
ただ、その強みを匂わすような書きぶりにしておいてください。
また、どのような商品やサービスを提供しているかを記入します。
さらに、売上が多い商品・サービス、利益をあげている商品・サービス等を具体的に記入(数値で表示等)できればなお良いです。
その売上構成がどのように推移してきたかも書けるとよろしいかと思います。
「自分の事業で利益がとれているサービスが把握できている事業者だな」という印象になります。
過去と比べて現在の状況、ここ数年の売上傾向、粗利益率の変化等も記載できれば記載してください。
様式2-1経営計画1.企業概要の記入のポイントは以上になります。
顧客ニーズと市場の動向
顧客ニーズと市場の動向欄にもまずは見出しを設定していきます。
ターゲット顧客層
自分のサービスがどこをターゲットにしているかを記載します。
主要な顧客層があると思いますので、そこを記載しても結構です。
顧客ニーズ
日々業務をおこなう中でのお客さんからの要望を記載して下さい。
申請書全体を通してお客さんのニーズがあるから今回の補助事業をおこなう、といった流れにします。
競合店等市場の動向
近隣店舗で競合するところがあれば状況を記載します。
ただ、競合が存在している場合でも、この部分は負けない、差別化できているといった締め方にします。
顧客ニーズと市場の動向の記入ポイント
市場動向を聞かれると、高齢化・大型店進出等の脅威や弱みばかりを書きがちになります。
地域の人口減でも、ある特定の市場やターゲットがあるなら、そこに着目し、自社の商品・サービスをマッチングさせることを考えた上で市場性があるといった結論に導く事が重要です。
市場規模はどのくらいですか?
ターゲット顧客層はどこですか?
今回の補助事業では既存のターゲット顧客層に向けてサービスをするのでしょうか?
それとも有力な市場が他にあり、そこに向けてサービスをしていくのでしょうか?
それにより書きぶりも変化します。
例えば高齢者を主要な顧客層として整体をおこなっている事業者が、補助事業で若者向けの新サービスを展開していくような場合であれば以下のような書きぶりになります。
新しい機械を入れて若者向けのサービスを展開する例です。
例:60歳代~80歳代の顧客層に対しては、腰痛や関節痛など痛みを和らげる施術が主となっている。今後は10代の学生(特に運動系の部活動に取り組んでいる中・高校生)に向けたメニューの開発も必要と考えている。
顧客ニーズの部分には、今の体制ではニーズがあるがそのニーズに応えられていないという事を書きます。
例:従来の腰痛や五十肩の痛みを和らげたいというだけでなく、自粛生活の疲労やストレスでの体調不良を施術により整えたいというコロナ禍で生まれた新しいニーズに対しても応える必要がある。また近隣にスポーツ強豪校が複数あり、保護者から疲労回復効果の高い施術が出来るかとの問い合わせがあるが対応できていない。
というような感じです。
ニーズがあるので補助事業でそのニーズに応えるという組み立てにします。
自社や自社の提供する商品・サービスの強み
強みはできるだけ多く記載して下さい。
強みの記載
ここでは端的に強みという見出しをつけて、その強みだと思う理由について記載していきます。
例えば以下のような書きぶりになります。
無料駐車場10台完備
主要な顧客層である女性でも駐車がしやすいように、1台あたりのスペースを広めにとった駐車場を10台分所有している。近隣に大型の駐車場を持った競合店はなく、遠方から車で来られるお客様が当店を選ぶ理由の一つとなっている。
のような感じです。
自社や自社の提供する商品・サービスの強み記入ポイント
強みを生かして今回の補助事業をするという流れがベストです。
自社や自社の商品・サービスを競合他社と比較しながら、優れている点、市場に認識されかつ顧客に評価されている点を説明することが重要です。
ここでもダラダラと文書を書くのではなく、見出しを書いてその下に詳細を記載してください。
競合他社等と比較して勝てるポイントは商品以外にも色々あります。
経営資源としてヒト、モノ、カネで考えます。
- ヒト…人材や人脈・家族の力
- モノ…商品力・設備等(例でいう駐車場)
- カネ…自己資金力・粗利益額・借入金状況等
ここでも補助事業につなげるために、補助事業内容がきちんと実行できるという事が分かるような強みを混ぜて下さい。
補助事業で「スポーツをする若者向けの新サービスを開始」という事で考えてみます。
経営者自身が地域のスポーツクラブのコーチをしているとか、スポーツクラブに複数所属している、といった状態であれば、強みになります。
また、過去に経営者自身が中学から大学までそのスポーツに没頭していた、という経歴もあれば強みになります。
そこの記載があるとそういったサービスを始めた時に事業が成功する可能性があがるので採択される確率もアップします。
経営方針・目標と今後のプラン
それぞれ経営方針、目標、今後のプラン、と分解して考えていきます。
そしてそれぞれ見出しを設定します。
経営方針
自社の方針を一言で書いてください。
何を実現するために経営をしていますか。
創業する目的があったはずです。
なければこの際作ってみて下さい。
目標
売上目標を数字で記載して下さい。
数字にすると具体的に何をどれくらい売ればよいのか考えられるようになります。
できるだけ多く売る!では結果目標として達成したかどうかわかりませんし計画もたてれません。
それより、年間1,000万円売り上げを上げる、といった目標であれば、月ごとにいくら売れば良いのか、何人に売れば良いのか、単価はどうすれば良いかなど色々見えてきます。
年度ごとを表形式で記載する形でも良いです。
今後のプラン
売上目標を達成するために今後何をしていきますか。
売上拡大のために今後取り組んでいきたい事を記載して下さい。
今回の補助事業でおこなう以外の取組もあると思いますのでそれも書いてください。
経営方針・目標と今後のプラン記入ポイント
1~3で記載した内容とかけ離れた経営方針・目標・プランでなく、経営資源・経営実態等を把握した上で、数値目標やプランを設定することが重要です。
目標やプランについては、数値やスケジュール等具体的に記入して下さい。
今後のプランについては、今回の補助対象事業は当然記入するとして、それ以外の事も書いて下さい。目標の数字を達成するために今後どのような取り組みをおこなっていくかを記載するようになります。
提供する商品・サービスはお客様のどういった悩みを解決する事になりますか?
売上目標・客数目標がありますか?目標・プランは自社の経営資源から考えて妥当ですか?
目標を達成するために今後どういった取り組みをおこなっていきますか?
複数取り組みたい事があるとして、まずはどれから取り組んでいきますか?
補助事業計画
次に<補助事業計画>ブロックの説明をしていきます。
補助事業計画では補助事業の内容として以下の欄に分かれています。
- 補助事業で行う事業名
- 販路開拓等の取組内容
- 業務効率化の取組内容
- 補助事業の効果
補助事業で行う事業名
補助事業で行う事業名は必ず30文字以内で記載して下さい。
これに限らず、今回の申請書は8枚程度で作成するといった制限がありますので必ず守って下さい。
販路開拓等の取組
新たな取り組みとして○○を導入し新サービスとして〇〇を実施する、のように簡潔に記載して下さい。
そのあとに、なぜ補助事業としておこなうのか、その理由を記載して下さい。
具体的には以下の取組を順次おこなっていくとして、時系列で具体的に記載して下さい。
例えば以下のような流れになります。
〇〇を導入
【なぜその機械を導入する必要があるのか、どういった効果があるのかを詳細に記載】
料金の設定
【その新サービスの料金設定も記載。なぜその価格設定にするのか、独自の価格設定サービスなどはないか】
広告で新サービスを周知
【なんの媒体を使ってどのくらいの回数をするのか記載。なぜその媒体を選ぶのかも記載】
販路開拓等の取組内容記入ポイント
本事業で取り組む販路開拓などについて、何をどのような方法で行うかを具体的に記入して下さい。
その際、これまでの取り組みと異なる点、創意工夫をした点、特徴などを具体的に記入して下さい。
どの商品・サービスを売りますか?
既存ですか?新規ですか?
いくらで売りたいのですか?
その商品を売るためにどのような取り組みをおこないますか?
初回限定、学生限定、ご紹介キャンペーンなど、売り方に工夫がありますか?
その商品を売るためにどのような販促ツールを使用しますか?
チラシの印刷配布、ホームページ刷新、商品パンフレット等。
補助事業の効果
補助事業をする事でどのような効果があるのか、売上があがる、だけでない効果を記載して下さい。
本事業をおこなうことにより、売上がどうなるのか、取引先、お客さん、地域などにどのような効果があるか可能な限り具体的に記入して下さい。
その際、事業をおこなうことがその効果に結びつく理由も併せて記入して下さい。
補助事業で発生する売上、利益はどのように変化しますか?
補助事業で収益構造が変わりますか?
生産性、粗利益率の向上等が見込まれますか?
補助事業の実施で従業員はどうなりますか?
成長する、モチベーションがあがる、給料が増える等。
補助事業で競合店との差別化はできますか?
補助事業で新規顧客が確保できますか?
良い効果があらわれる事を期待して補助事業をされるはずですので見込まれる効果を記載して下さい。
審査のポイント
経営計画書・補助事業計画書については以下の項目に基づき加点審査を行い、総合的な評価が高いものから順に採択がされます。
1.自社の経営状況分析の妥当性
自社の経営状況を適切に把握し、自社の製品・サービスや自社の強みも適切に把握しているか。
- 経営方針・目標と今度のプランの適切性
経営方針・目標と今後のプランは自社の強みを踏まえているか。
経営方針・目標と今後のプランは対象とする市場(商圏)の特性を踏まえているか。
- 補助事業計画の有効性
- 補助助事業計画は具体的で、当該小規模事業者にとって実現可能性が高いものとなっているか。
- 地道な販路拡大を目指すものとして、補助事業計画は、経営計画の今後の方針・目標を達成するために必要かつ有効なものか。
- 補助事業計画に小規模事業者ならではの創意工夫の特徴が見られるか。
- 補助事業計画にはITを有効に活用する取組が見られるか。
- 積算の透明性・適切性
- 補助事業計画に合致した事業実施に必要なものとなっているか。
- 事業費の計上・積算が正確・明確で真に必要な金額が計上されているか。
作成された申請書に以上のような事が反映されているかも確認してみて下さい。
まとめ
補助金の申請書を作成するポイントとしては補助金事業の目的や審査のポイントを理解した上で作成する事が重要です。
いくら良い計画書が書けたとしても、事業の目的と違っていたり、加点項目の事に全く触れられてない申請は不採択になります。
持続化補助金の事業目的は、
相次いで直面する制度変更等に対応するため、小規模事業者等が取り組む販路開拓等の取組の経費の一部を補助することにより、地域の雇用や産業を支える小規模事業者等の生産性向上と持続的発展を図ること、です。
ですので、例えば計画書の中で以下のような記載があると目的に沿っていないものとなります。
設備を導入する補助事業計画書の場合で記載します。
目的に沿っていない書き方の例です。
最新の設備を導入する事により、従業員1名分の人件費を削減する事ができる。
目的に沿った書き方に直すと以下のようになります。
最新の設備を導入する事により、作業時間を2/3にする事ができる。削減できた1/3の時間を活用し、〇〇(新サービスや新商品)の普及を図る営業活動を〇〇(特定の商圏)に向けておこなっていく。
持続化補助金の目的部分に地域の雇用や産業を支える、とありますので、人件費は削減してはいけません。
売上を増やして、利益を増やして、人件費をあげる計画というのが目的に沿った計画となります。
そういった事も意識しながら計画書を作成してみて下さい。
また、一度書いて終了ではなく必ず申請書を見直してください。
自社がおかれた外部環境、内部環境、強み、弱み、独自の今後のプランなどをしっかり記載する事でオリジナルな申請書が完成します。
親しい人に一度見てもらうというのも効果的です。
意味が分からないとか、読みにくいとか本心の意見を聞くことが出来ると思います。
一度立ち止まって日々の業務、サービス、顧客層を見直す事は大事な事だと思います。
計画書を作成するのは大変です。
簡単な事ではありません。
作成し申請した結果不採択になる事もあります。
ですが、作成された方は決まって
「今の事業内容をしっかり考える事が出来た。次に自分がどこに向かっていけば良いか頭の整理ができた」
と言われます。
経営計画を策定する補助金をもらう事以外の効果だと思います。
申請に費用はかかりません。
この機会に是非チャレンジしてみて下さい。
何だか書けそうな気がしてきた!
様式2だけ大変だけど、まだ締め切りまで
時間があるから頑張ってみるよ!
持続化補助金は複数回公募される予定だよ!
不採択になっても次回また申請する事ができるから
チャレンジしてみてね!
がんばるあなたの明るい未来を応援しています!
本日もおつかれさまでした!
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